以前から気になっていた「HOLD」スイッチについて確認してみましたが、ブレーキに関して革新的ともいえる変化があったことを知りました。長年運転から遠ざかっていると驚くことばかりです。理解した結論からすると、「HOLD」スイッチはオートブレーキホールドと呼ばれており、フットブレーキから足を外してもブレーキ状態を維持する機能とのことです。解除するにはアクセルを踏むだけで足ります。そして、オートブレーキホールドに関する操作は一度スイッチを入れれば足り、運転中は常に作動し続けるようです。
結果として、オートブレーキホールドはAT車のクリープ現象を停止させる効果があることになります。そうなりますと、サイドブレーキをかけた状態との違いが気になりますが、停止時に毎回ブレーキをかける必要がないこと、ブレーキランプも点灯することがオートブレーキホールドの特徴といえそうです。
サイドブレーキかオートブレーキホールドか
信号待ちなどでは、サイドブレーキとオートブレーキホールドのどちらが利便性が高いのでしょうか。ネット上のやりとりを見ていると、意見は分かれているようです。
サイドブレーキ派の意見として考えられることは、クリープ現象を利用したい、オートブレーキホールドは右左折や合流などでタイミングを図って発進するときに一瞬遅れる、駐車時などにオートブレーキホールドは煩わしいなどです。
オートブレーキホールドがブレーキをホールドするということは、クリープ現象が生じないということです。そのため、渋滞時の停止と発進を繰り返すときにアクセルペダルを踏んでオートブレーキホールドを解除する必要があります。ブレーキペダルだけで操作できることと比較すると、足の位置をいちいち変えるのが手間です。これはMT車に乗っていると渋滞がつらいことと同じだと思います。
オートブレーキホールドはアクセルペダルを踏むことで解除されますが、その一瞬の遅れが違和感に繋がります。これは、アイドリングストップの弊害と同じです。発進にラグが生じることは、思った以上にストレスになります。私はアイドリングストップの気持ちの悪さがとても嫌いなので、オートブレーキホールドの遅れにも気持ち悪さを感じると思います。
駐車時には車が停止することがあります。そのときにオートブレーキホールドが作動すると、やはりこれもイライラしてきそうです。ネット上では、オートブレーキホールドは一定の強いブレーキをかけなければ作動しないので、ブレーキペダルをうまく操作すればオートブレーキホールドを作動させないで駐車できるとのコメントも見かけますが、私としては運転が得意との意識はありませんし、バック駐車はかなり慎重に行っていますので、オートブレーキホールドの弊害が出てくると思われます。また、オートブレーキホールドが作動するブレーキペダルの強さはメーカーや車種によっても違うようですから、レンタカーを利用することの多い私としては微妙な感覚を身につけることも難しいです。
他方で、オートブレーキホールド派の意見としては、信号待ちなどに楽というもの、安全面から好ましい、ブレーキランプを点灯し続けられるというものです。
信号待ちで完全停止するときにわざわざサイドブレーキを作動させなくて良いというのは確かに便利です。いちいち操作をしなくてもまさに自動でサイドブレーキをかけてくれるということは、至れり尽くせりとも言えます。
また、安全面でいえば、気がついたらブレーキペダルから足が外れているといった思いがけないクリープ現象や坂道での意図しない動きを避けることができますし、サイドブレーキが不完全にかかることも避けることができます。
ブレーキランプについては、確かに後続車へのアピールとしては点灯していた方が良いかもし、安全かもしれません。
結論としては、私はオートブレーキホールドは使いたくありません。
オートブレーキホールド派の意見についてですが、信号待ちなどで楽とはいうものの、オートブレーキホールドが作動しているのか作動していないのか、わざわざ目で確認しなければなりません。私はこの目で確認しなければならない仕様は不便だと思いますし、安全上も好ましくないと思っています。ブレーキペダルから足を外したいときに、わざわざ目で確認していては疲労が溜まりやすくなります。オートブレーキホールドが作動するときは車の挙動からわかるという考えもあるかもしれませんが、作動しているかどうかを記憶することも好きではありませんし、疲れやすくなります。運転しているときに、安全のために、できるだけ視力と頭を使いたくありません。電動パーキングブレーキが嫌いなのも同じ理由です。
安全面についてですが、確かにオートブレーキホールドは安全に資すると思います。発進にワンテンポ遅れたとしても、それが安全につながるのであれば採用するという考えもあると思います。しかしながら、思ってもいないときにブレーキが効き続けることや、不安定な挙動をすることによる精神的な負担も、安全面へのマイナスに思います。車側の挙動に合わせること自体は、毛嫌いすることではないのですが、そこに遅延が入り込むと疲労感が大きく増加します。フィト(Honda)のアクセルを抜いたときの強い回生ブレーキはそれほど気になりませんが、初代アクア(TOYOTA)のブレーキを踏んだときの二段階の挙動や、アイドリングストップの一瞬の遅れは避けたいです。
ブレーキランプが点灯していないというだけで、突っ込んでくる後続車が多いとも思えません。夜間などでは、ブレーキランプがついているのどうかはそれほど意識しないように思います。動いているか止まっているかで判断されているのではないでしょうか。ただ、これについては、現在のマジョリティとしてはブレーキランプを点灯させるべきという考えも理解できます。
どちらが正解ということはありませんが、オートブレーキホールドは好きにはなれません。
電動パーキングブレーキさえ避けたい
気になっていた「HOLD」ですが、どうやら私には縁がなさそうです。オートブレーキホールドは、電動パーキングブレーキあっての機能のようです。そして、将来的には自動運転につながっているとよくいわれます。この流れ自体は避けられないのかもしれませんが、現状として完全な自動運転が現実化していない状況で、どこまでを自動でするのか、どこまでを運転者が行うのか、その棲み分けに様々な段階があり、車による差が大きくなっています。そして、運転者としては、運転する車がどの程度自動化されているか把握しながら運転することを求められます。
多種類の車を運転することを考えると、特定車種に慣れることができないため、できるかぎり操作と挙動が見える車が求められます。そして、それはシンプルであるほど望ましいです。安全は大切ですし、安全をアピールすることは理解できますが、現状として、高度な機能を盛り込み、それを抑制的に制御する高度な機能を盛り込んでいるように思えてなりません。停車時に完全停止を維持したり、アクセルを抜いたら大きく減速したり、結果的にMT車の仕様に戻ってきていないでしょうか。
AT車としてなんとなく業界標準ができてきたところに、各メーカーが更に独自の変化を盛り込んで、車が利用しづらいものになってしまった気がします。各メーカーとしての進化や差別化の副作用だとは思いますし、避けられないことではあるのですが、本当に安全に役立っているのか疑問も湧いてきます。