ChatGPTの仕組みと作用
ChatGPTについて、解説をいくつか見ていると、仕組みとしては、次の単語を予測するというシンプルな計算方針によって構成されているようだ。
そのシンプルな仕組みにより、まるで人が話すようなやりとりができることは、素直に驚きであるし、人が行っていることも、その根本はとてもシンプルなことなのかもしれないと思わされる。実際にシンプルなのだろう。人間について、例えばその脳の仕組み自体は複雑とはいいがたく、それをモデルとしたニューラルネットワークの延長に現在の技術があるようだ。
このような仕組みについてわかっていなくとも、使い方は理解できるところが、いまのブームの根幹にあると思っている。コンピュータを使うには、コンピュータの計算内容を想像できなければならないといった友人の言葉が思い出されるが、その想像にも深度があるのであり、GUIを前提にすれば、そのGUIがどのように動くかを理解していれば、一応は使えてしまうのだ。その後ろで動いているプログラムの演算内容まで考える必要性はなく、その後ろで動いている処理内容まで考える必要性もない。
ChatGPTでいえば、それがどのように作用するのか、簡単にってしまえばどのようなレスポンスが得られるのかを実地的に体感すれば、そこに様々な正解が生まれてくることになる。そのときに、ChatGPTの仕組みを知ることは必ずしも求められていない。もちろん、仕組みを理解していれば、その挙動の背景も想像できることはあるし、その限界も理解しやすく有用であることは間違いないことではあるが。
また、仕組みの解説を見ていくと、直接的に与える指示の影響はもちろんであるが、それまでの文脈についても、どこまでどの程度反映されるか、保持されているかは、まさに計算内容に影響を受けるようだ。ChatGPTのサービスとしては、ひとつのChat内部では継続した文脈として理解させているが、具体的にどのような処理をされるかは、必ずしも容易に想像できるものではなさそうだ。
人に対するように
バックで動いている仕組みが何であれ、ChatGPTに関して言えば、人間と対応するのと同じように対応すれば、それなりに期待する反応が返ってくることが分かった。
人間が理解しづらい、例えば多義的な文章であれば、その理解は不十分になるし、逆に整理したうえで文章を与えれば、十分に理解(しているかはさておき)しているように反応してくれる。
また、文章のニュアンスについても、指示を与えれば、かなりくみ取った反応になることもわかった。これは制約条件のような言葉で説明している実例が多いが、表現方法から、文章の読み取り方まで、かなり応用が利く考え方になっている。
表現方法としては、具体的な作家や抽象的な人物像を与えれば、それに応じたものを出してくれるようだ。これは内容に対する制約条件との境も流動的なものになるであろう。
文章の読み取り方については、前の見出し部分の文章のように、伝聞的内容について、単に「文章を整えてください」という場合と、「ニュアンスも正確に残して文章を整えてください」という場合ではかなり出力に差が出た。前者の場合は、ほぼすべての文章が断定的表現になったのに対し、後者では、伝聞的部分は伝聞として残された。与える制約条件の影響はかなり大きい。そして、適切な制約条件は、実際の影響をみつつ調整していくしかなさそうだ。まさに人間を相手にしているかのようだ。
この制約条件の組立は、なかなか面白いもになりそうな予感がしている。
いくら制約条件を与えたところで、ChatGPTが制約条件として処理しているわけではなく、それもひとつの言葉の塊として処理しているにすぎないのだが、まるでメタな処理条件を整えるように機能することも、なんとも子気味良さが感じられるところである。